これでコースデビューも怖くない!ゴルフの基本ルールと2019年の大幅改正ポイント
ゴルフのルールについて、「なんだか難しそう」というイメージをお持ちではないでしょうか? ボールを何回打ってカップインするかを競うスポーツであることは、ご存じの方も多いと思います。しかし、そういった基本的なルール以外に難しい取り決めやルールがありそうだというイメージは、意外に多くの方がお持ちです。
コースを回ってゴルフを楽しみたいという方にとって気になるゴルフの細かいルールについて、この記事では基本と「こうことをしたら打罰(ペナルティ)になる」という視点で解説をしたいと思います。
また、2019年にはゴルフのルールが一部改正されています。世界共通のルール改正なので、どのような改正があったのかというポイントの解説もしていきますので、ゴルフのルールをしっかりと理解しておきたいという方は、このルール改正についても押さえておいてください。
1.ゴルフのルールにある特徴としっかり学んでおくべき理由
ゴルフには、他のスポーツと異なることがいくつかあります。それゆえにルールをしっかりと理解しておく必要があり、この記事をお読みになっている方もその必要性をすでにお感じだと思います。
1-1.ゴルフには審判がいない
ご存じの通り、ゴルフには審判がいません。プレーの結果がどうだったのか、そのプレーをどう扱うのかといった判断はプレーヤーに委ねられています。これこそゴルフが紳士のスポーツと言われる所以で、意図的にスコアをごまかしたりすることは論外として、ルールを知らないばかりに間違った取り扱いをすると、恥ずかしい思いをすることになってしまいます。
1-2.実はゴルフのルールは膨大で複雑
ボールを打って、できるだけ少ない打数でカップインするのが、ゴルフの基本ルールです。たったこれだけのシンプルなスポーツではあるのですが、それに至るまでの細かいルールは実に多く、それが膨大であるがゆえにゴルフのルールを「難しい」と考える人が多いのです。
もちろん一般のプレーヤーが、こうしたルールをすべて覚える必要はありません。一般的なプレーヤーにとって関わりがありそうなものを理解しておけば問題ないので、この記事でも「基本+最低限知っておくべきルール」という構成でまとめています。
1-3.ゴルフのルールは世界のどこでも同じ
これはご存じない方もおられるかも知れませんが、ゴルフのルールは世界共通で同じものが用いられています。つまり、日本でゴルフのルールをしっかりマスターしておくと、それは世界のどこでも通用するものとなります。
ゴルフのルールを覚えておくと、日本全国のどこに行っても同じルールでプレーを楽しむことができますし、それは海外でも同様なのです。
1-4.2019年のルール改正で久しぶりに大胆な変化
ゴルフ愛好家の方であれば知っている方も多いと思いますが、ゴルフのルールは2019年に大きく改正されています。もちろんゴルフの基本ルールまで変えてしまうといったものではありませんが、プレーヤーに対する見方が変わっている部分もあるので、やはり知っておくべき事項であることに間違いありません。 2019年のルール改正については、記事の最後で解説します。
2.まずは押さえておきたいゴルフのルールの基本
ゴルフの基本的なルールを、各場面別に解説します。
2-1.プレー開始からプレー終了までの流れ
ゴルフはティーショット(第1打)から始まり、そこから自分のボールを打ってカップインを目指します。例えば、最終的に5打でカップインした場合は、第1打から第5打までの間に使用するクラブを変えたり打ち方の工夫をしたりして最短ルートでグリーンを目指し、そこから正確なパティングでカップインしたらホールアウトとなり、そのホールでのプレーは終了となります。
それを18番ホールまで繰り返し、最終的なスコアを競います。
2-2.ゴルフは打数で勝敗を争う
いかに少ない打数でカップインしたかによって、ゴルフのスコアは決まります。それぞれのコースにはパーという数値が決められており、「何打でカップインしたら標準的か」という目安になります。それよりも少ない打数でカップインすればスコアは伸びますし、逆にパーよりも多く打ってしまったらスコアは落ちます。
なお、パーよりも1打少なくカップインすることを「バーディ」、2打少ないことを「イーグル」といいます。逆に1打多いことを「ボギー」、2打多いことは「ダブルボギー」といいます。
2-3.ティーグラウンドでのルール
コースでの第1打は、ティーショットといいます。ティーという器具にボールを乗せて打つため、第1打だけはティーショットと呼ばれます。ちなみにティーにボールを乗せることをティーアップ、打つことをティーオフといいます。
誰が最初に打って、その後どの順で打つかはくじ引きなどで決めます。最初のホールはくじなどで決めますが、2つ目のホール以降は直前のホールでスコアが良かった人から順に打つルールになっています。
他のプレーヤーがティーアップをしてボールを打つ動作に入ったら、その人の視界に入らないようにする、真後ろに立たない、そして物音を立てないのがマナーです。
2-4.ティーオフ後のルール
ティーオフをしたら、各プレーヤーのボールがコース上に落ちています。第2打からは、グリーンから最も遠い(つまりティーグランドに近い)プレーヤーから打つ順序になります。
ティーオフ後に心がけたいのは、プレーファーストです。プレーファーストとは迅速なプレー進行を心がけることで、他のプレーヤーを待たせない、自分たち以外のグループも次に控えている可能性があるので、その人たちを待たせないといった基本的なマナーです。 そのため、自分が打つ順番が回ってくる前にクラブの準備をして「どこに、どう打つか」というイメージも描いておきます。
こうしたマナーはルールに記載されているわけではありませんが、一緒にプレーしている人に与える印象に関わるため、ビジネス上のお付き合いや接待などでゴルフを始める方は大いに心がけておきたいところです。
2-5.グリーン上でのルール
ボールがグリーンに到達したら、ここからはグリーン上のルールが適用されます。
自分のボールが他のプレーヤーの邪魔になってはいけないので、ボールがあった位置にマーカーを置いてボールを拾い上げることができます。このマーカーというのは特別なものではなく、コインなどを用いるのが一般的です。もしこのコインが他のプレーヤーのパッティングの邪魔になるようであれば、そのプレーヤーの指示に従って移動することになります。
グリーンの外からボールを打ち、それがグリーンに落ちるとボールの跡がつきます。名前が似ていて少々ややこしいのですが、この落下跡のことをボールマークといいます。ボールマークのくぼみが他のプレーヤーのパッティングを妨害してしまうことがあるので、これは自分で直すのがマナーです。他にもパッティングをしようとしている他のプレーヤーのライン(ボールからホールまでの線)を意図的に踏んではいけません。カップの周りの芝を踏んではいけないというのも、基本的なルールです。
グリーンに到達したら、カップの位置が分かりやすいようにピン(旗のことです)が立てられています。グリーン内から打って、このピンにボールを当てるとルール違反になるので、注意してください。グリーンの外から打った時にボールがピンに当たるのは問題ありません。
2-6.日本独自、コース独自のローカルルールもある
世界標準のルールが定められているのがゴルフですが、中には日本独自のルール、またはそれぞれのコース独自のルールもあります。こうした世界標準ではないものの、そこでは通用しているルールのことをローカルルールといいます。
よくあるのはコースの形状や広さの関係上、OBとなるエリアが独自に定められていたり、どうしても動かすことができない障害物についての打罰をなくしているような場合です。 大きく分けると、「ローカルルールで特別に許される行為」もしくは、「公式ルールでは認められているものの、そこでは禁止されている行為」となります。
代表的なものを挙げてみると、「6インチプレース」と「プレーイング4」があります。
「6インチプレース」とは、ゴルフ場特有の環境のせいで芝枯れや大雨の後にできている水たまりなどがある場合、そこから6インチまでであればボールを動かして打っても良いというローカルルールです。
もうひとつの「プレーイング4」は、ティーショットがとんでもない方向に飛んでしまい、ボールを見失ってしまった場合などに、コース内に設けられたもうひとつのティーから打つことができるローカルルールのことです。
いずれもプレーファーストを目的とした、プレー遅延を防ぐためのローカルルールです。
3.とても重要なゴルフルール、ペナルティ(打罰)集
ゴルフのルールはペナルティのルールと言っても良いほど、さまざまな禁止事項とペナルティがあります。ペナルティは打数として加算されてしまうため、日本語では打罰といいます。
3-1.スコアに大きく影響するペナルティ(打罰)
日本語で打罰と呼ばれるペナルティは、反則行為に応じて打数が追加されるという形でペナルティを受けます。4打でホールアウトしたとしても、打罰が2つある場合は6打でホールアウトしたことになります。仮にその人がパー4のホールを4打でホールアウトすればパーですが、打罰のせいでダブルボギーになってしまいます。
このようにペナルティは打数となって直接スコアに影響するため、避けなければならないこととしてそれが抑止効果を発揮しています。
3-2.空振り(打罰:0)
ボールを打とうとして空振りをしてしまうと、1打としてカウントされます。単なる素振りとの違いは、ボールが無いところでクラブを振ったのかどうかで判断します。明らかにボールを打つ動作(アドレス)に入ってからの空振りは、1打としてカウントされることになります。
単なる空振りなので他のプレーヤーに迷惑をかけたことにはならず、1打カウントされるものの打罰はありません。
3-3.OB(打罰:1)
OBとは、アウト・オブ・バウンズの略です。コース内の規定エリアから外へボールが出てしまった場合、またOBゾーンではなくても林の中など到底ボールを打てるような場所ではない場合は、OBとなって1打罰となります。
ティーショットがOBになってしまった場合は、その1打と1打罰を足して2打を打ったことになり、次のティーショット打ち直しは3打目ということになります。
3-4.ペナルティエリア(池ポチャ)(打罰:1)
コース内に池がある場合、そこにボールを入れてしまうと「池ポチャ」になります。現在はペナルティエリアと呼ばれていますが、かつてはウォーターハザードと呼ばれていました。
この場合、池に入って打つわけにはいかないので、1打罰をカウントした上で元の場所から再び打つことになります。また同じところに打ってしまって池ポチャになるのは最悪の事態ですが、その場合は再び1打罰を追加して打ち直しとなります。
3-5.ロストボール(打罰:1)
ロストボールとは、打ったボールがどこに行ったのか分からなくなってしまう状態のことです。探してプレーを再開するとなると探す時間の分だけプレーファーストに反するため、変なところに打ってしまったら早めにロストボールになったとして打ち直すのがマナー的にはベターです。
この場合、1打罰となって打ち直すことになるため、OBと扱いは同じです。
3-6.誤球(打罰:2)
間違えて他のプレーヤーのボールを打ってしまうことを誤球といいますが、これをやってしまうと2打罰です。他のプレーヤーに迷惑をかけてしまう行為であり、自分の不注意の極みなので、ペナルティも重くなります。
3-7.2度打ち(打罰:1)
ボールを2回打つことも、1打罰となります。故意にやるのは論外ですが、間違って打つ前にクラブがボールに触れてしまうことがありますが、その場合も1打罰となるので注意してください。
3-8.グリーンでマークせずボールを拾う(打罰:1)
ボールがどこにあったのかをマークせずにグリーン上でボールを拾うと、1打罰です。これはもちろん、マークをしないことで次に自分の有利な場所にボールを置くのではないかという疑念が生まれてしまうからです。
3-9.バンカーでソールを地面につける(打罰:2)
バンカー(砂場)にボールが入ってしまった際、クラブが砂に触れてしまうと2打罰となります。意外にペナルティが重いとお感じだと思いますが、これはクラブが砂に触れることを許すとバンカーの状態を改善してから打つという行為が可能になってしまうからです。
3-10.ドロップ(打罰:0~1)
ゴルフには救済措置としてドロップというルールがあります。障害物などどうしても打つことができない場所にボールがある場合、一定の範囲内であればボールを拾ってそこに落とし、そこから打つことができるというものです。
「一定の範囲内」によって打罰が異なり、1クラブレングス(その人が使っているクラブの長さを半径とする円形内)であれば打罰ゼロ、2クラブレングス(クラブの長さの倍にあたる半径の円形内)の場合は打罰1です。
3-11.アンプレアブル(打罰:1)
アンプレアブルとは、「プレー不可能」という意味です。ボールが落ちた位置が到底打てない場所である場合に受けられる救済措置のことです。池ポチャの場合は明確なルール規定がありますが、それ以外の場所でプレー不可能となったら、アンプレアブルを宣言して打罰1となりますが、救済措置を受けることができます。
この場合受けられる救済は、その1打を打った場所に戻って打ち直す、2クラブレングス内にドロップ、もしくはホールとボールの現在位置を結んだ後方直線状にドロップの3種類です。アンプレアブルを宣言したら、この3つのうち最も打ちやすい方法を選ぶことができます。
3-12.スイング区域の改善(打罰:2)
ボールを打つ際に邪魔になるものがあるとして、木の枝を折ったり曲げたり、近くにある石をどけたりする行為は「スイング区域の改善」と見なされ、2打罰です。いわゆる「ズル」に該当するため、打罰は2です。
初心者が注意したいのは、ボールの後ろにある芝を踏んだり足でならしてライを改善したりする行為もこちらに該当するという点です。何気なく本能的にやってしまいがちな行為なので、間違って2打ペナルティを食らってしまわないように注意してください。
4.2019年のゴルフルール改正で知っておくべきポイント3つ
2019年のゴルフルール改正は規模が大きく、久しぶりの大幅な改正であることから、その内容に対して関心をお持ちの方は多いと思います。どの部分がどのように変わったのか?という疑問に対して、3つのポイントで解説します。
4-1.プレーヤーの良心への依存度が高まった
ゴルフはもともと紳士のスポーツとして、プレーヤーの良心や誠実さに任されている部分は多分にあります。2019年のルール改正ではその傾向がより強まり、例えばプレーヤー自身が合理的な判断をした結果に対して後からビデオ映像などで別の結論が出たとしても、プレーヤーの判断が優先されます。
その流れの一環として、うっかりボールを動かしてしまった場合の打罰もなくなります。故意に動かしたこととうっかり動かしたことの判別は難しいため、ここでもプレーヤーのスポーツマンシップがより強く求められています。
4-2.ルール規制の一部緩和
これまで禁止されていたことが一部、2019年のルール改正によって緩和されています。グリーン上のルールとしてピンを外してパッティングをすることが前提となっていましたが、こちらもルール改正によってピンを立てたままでもパッティングできるようになっています。
グリーンの物理的な損傷を改善することも認められていませんでしたが、こちらもルール改正によって許されるようになりました。
4-3.プレー速度の高速化
ロストボールになるまでのボール捜索時間が5分から3分に短縮されています。また打つ順序としても準備ができたプレーヤーから打つことができるという「レディーゴルフ」が推奨されており、これまでよりもプレー速度の迅速化、高速化が図られています。
これについてはプレーファーストの精神がより強く反映されていると考えて良いでしょう。
まとめ
ゴルフのルールについて取り急ぎ知っておくべき部分にフォーカスして解説してきましたが、いかがでしたか? 「こんなに禁止事項が多いのか」「思ったより細かいな…」とお感じになった方も多いでしょう。
しかし、ご安心ください。これまで無数の初心者プレーヤーが大きな問題を起こすことなくルールを自然に身につけていますし、コースデビューの際には必ず経験豊富な人が一緒に回っているはずです。その都度教えてもらいながら当たり前のことをしていれば誰でもこなせるものばかりなので、そこまで緊張しすぎることなく、まずはゴルフを楽しむという一番大切な目的を大切にしてくださいね。